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一条アルチメイトファクトリー京都西

ホイール深掘り8 リアドライブ側1交差2

2024年8月30日 [一条アルチメイトファクトリー京都西]

スタッフブログ

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すみません、しばらく更新が滞っていました。
毎回読んでくださっていた方は少数だと思いますが、改めて再開します。
よろしくお願いします。

 
 

リアホイールの交差数の組み合わせで最適なのは

ドライブ側 :1交差
非ドライブ側:3交差

ではないか、という話の続きです。

 

その理由は

・実用的な交差数の組み合わせのなかで左右のテンション比率を最も近づけることができる
・1交差ならフランジの片面だけを使って組むことができる
・実績がある

といったところです。

 

【実用的な交差数の組み合わせのなかで左右のテンション比率を最も近づけることができる】
【実績がある】

テンション比率だけを考えて交差数の差を最大にすると

ドライブ側 :0交差(ラジアル)
非ドライブ側:4交差

になるのですが
これは組める条件が限られるうえに、0交差(ラジアル)4交差とも積極的に採用しにくい理由もあり、あまり実用的ではありません。

参照 ホイール深掘り7 リアドライブ側1交差1

 

となれば、0交差と4交差を除いた1・2・3交差のなかで差が最大になる組み合わせ

ドライブ側 :1交差
非ドライブ側:3交差

が自ずと有力候補になります。

 

3交差なら24H以上で組めるのでスポーク本数の制約はほぼありませんし、スポーク長すぎ問題やオーバーラップ問題も起こりにくく実用的です。

また、弊店で組ませていただいたホイールではこの組み合わせを以前から何度も採用しており、多くのお客様から好評をいただきトラブルも特に発生していないことから、自分の知る狭い範囲ではありますが一応の実績があります。

 

 

【1交差ならフランジの片面だけを使って組むことができる】

そして、ここからが今回のメインとなる話です。

まずJベンドスポークをハブフランジへ通す方向は2通りあって、その呼び方は色々ありますが、個人的には「エルボーイン」「エルボーアウト」と呼んでいます。

図左:ハブフランジ外側から入って、内側に出るのが「エルボーイン」
図右:ハブフランジ内側から入って、外側に出るのが「エルボーアウト」

Jベンドスポークの曲がり部分(エルボー)が内側を向くか、外側を向くか、ということです。

 

通常はこのエルボーインとエルボーアウトを隣同士で交互に組むことになります。

 

それはなぜかというと

すべてエルボーアウト(もしくはエルボーイン)で組んだ場合、隣同士のスポークが交わる第一交差のところで早くもスポーク同士がぶつかってしまうからです。

第二交差まで行ってしまえば、フランジからある程度の距離があるため、スポークの柔軟性をいかして問題無く編めますが、第一交差の段階ではスポークのほぼ根本で編むことになり、大きなストレスがかかってしまいます。

それを避けるためにエルボーインとアウトを交互にするわけです。

 

ところが、そもそも交差しない「0交差(ラジアル組)」と第一交差がそのまま最終交差になる「1交差」の場合は、上記の問題が無いため、全エルボーアウト(もしくは全エルボーイン)で組むことが出来ます。

 

このことは特にリアドライブ側にとって相当大きな意味があります。

この図を見ると、エルボーインとエルボーアウトは同じフランジを使っていながらも、スポークの出発点がフランジの厚み分だけ違うことがわかります。

それはつまり、エルボーインとアウトでは「OLDセンターからフランジ面までの距離」に差があるということです。

以前の回(ホイール深掘り2 スポークテンションの左右差1)でこの図の底辺の長さはハブとリムの設計に依存するから変えられないと書きましたが、実は交差数を0交差(ラジアル組)か1交差にしてフランジのどちらか一面だけを使えば、僅かに変えることができます。

 

そして「OLDセンターからフランジ面までの距離」に差があるということは・・・

厳密には同じフランジのなかでもエルボーインのスポークとアウトのスポークで

・スポーク長に差がある
・スポークテンションに差がある

ということです。

 

 

長くなってきましたので、続きは次回

 

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