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一条アルチメイトファクトリー京都西

ホイール深掘り4 ハイローフランジハブの効果1

2024年1月29日 [一条アルチメイトファクトリー京都西]

スタッフブログ

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前回はハブとリムの寸法を正確に計測して、組み方を決めれば、左右のスポークテンション比率などを正確に求めることができるということでした。

 

これはすごく便利で、わざわざホイールを組まなくても「このハブとこのリムを使ってこう組めば、結果はこうなる」ということがすぐ分かるので、手間をかけずに様々な疑問を調べることができます。

 

ということで、今回はハイローフランジハブの効果を検証してみたいと思います。

ハイローフランジハブとは

・高テンション側のフランジ径を大きく
・低テンション側のフランジ径を小さく

設計したハブです。

 

フランジの高さに左右差をつけることで、前回出てきたこの図と同じ状態を作り出し、左右のテンション比率を改善する意図があります。

有名メーカーの完組ホイールでの採用率も高いことから、非常に効果的に思えます。

 

 

ということで早速検証してみます。

条件はこのようにしてみました。

【リム】
ERD:600mm、オフセット:無、スポーク本数:24本

【ハブ】
OLDセンター~左フランジ:40mm、OLDセンター~右フランジ:20mm、リアハブ

【スポーク交差数】
低テンション側(左):3交差、高テンション側(右):2交差

※他にも細かい設定はありますが省略します。

 

以上の条件は固定したうえで、フランジ径のパラメーターだけを色々と変えて計算することで、ハイローフランジハブの効果を調べます。

 

とりあえず左右同径50mmで計算した結果がこちらです。

「左50mm、右50mm」のときテンション比率は「左52.701%:右100%」

 

お気づきの方もおられると思いますが、ハブのOLDセンターからフランジまでの距離が左40mm、右20mmという条件なので、ちょうど2:1になっています。

この条件でスポークを左右とも同じ交差数で組めば、テンション比率はほぼ50:100になります。

厳密には50.3%くらいですが、そこから約2.5%ほどテンション比率が改善しているのは、左3交差/右2交差とした効果です。

 

 

ここから右フランジだけをどんどん大きくして、ハイロー化していったときの計算結果を並べてみます。
※以降は表記を大幅に省略

 

左50右60_52.794% 左50右70_52.858% 左50右80_52.889% 左50右90_52.888% 左50右100_52.858%

右を左の倍という極端な大きさまでハイロー化しても、テンション比率は誤差程度しか変化しませんでした。

それどころか途中からわずかに悪化しています。

 

 

今度は右100のまま左を大きくしていきます。

 

左60右100_53.256% 左70右100_53.691% 左80右100_54.160% 左90右100_54.663% 左100右100_55.200%

左を大きくしていくとハイロー率はどんどん下がりますが、左右のテンション比率は改善していきます。

 

左110右100_55.772% 左120右100_56.380%

この傾向は左が右をこえて逆ハイロー化しても続きます。

 

 

この結果を見る限り、ハイローフランジかどうかは関係なく単に左右ともハイフランジ化する方が、テンション比率は改善するという結果になりました。

 

 

今度は純粋にハイロー化の影響を検証したいので、左右の合計値を固定して左右差だけをつけて計算してみます。

 

左40右60_52.425% 左30右70_52.149% 左20右80_51.874% 左10右90_51.598%

ハイロー化が進むにしたがって、テンション比率は改善するどころかむしろ悪化していきます。

 

 

同じ条件で逆ハイローはどうでしょうか?

 

左60右40_52.980% 左70右30_53.263% 左80右20_53.549% 左90右10_53.842%

なんと、逆ハイロー化を進めた方がテンション比率は改善していきます。

 

 

今回の条件では、ハイローフランジハブは全くの逆効果という予想外の結果になりました。

なぜでしょうか?

 

次回に続く

 

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