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一条アルチメイトファクトリー京都西

ホイール深掘り3 スポークテンションの左右差2

2024年1月26日 [一条アルチメイトファクトリー京都西]

スタッフブログ

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前回は三角形の縦の辺の長さを変えれば、角度の差を小さくできるということでした。

底辺の長さは固定なので「縦の辺の長さ」を変えるとは、つまり「斜辺の長さ」を変えることです。

この斜辺の長さが一体何なのかというと、もちろん「スポーク長」です。

 

 

今まではホイールを正面からみていましたので、今度は横から見てみましょう。

スポークの交差数の違いを並べた図です。

3交差と4交差の見分けがつきませんが・・・とりあえずスポークの交差数が増えていくにつれてスポーク長が長くなっていくのが分かると思います。

 

ということは

先ほどの三角形の縦の辺の長さを伸ばしたいなら、スポークの交差数を増やしてスポーク長(斜辺)を長くすればいい、ということになります。

もちろん、その逆も言えます。

 

つまり

・高テンション側はスポーク交差数を減らしてスポークを短くする
・低テンション側はスポーク交差数を増やしてスポークを長くする

ことによって、左右の角度差が小さくなるのでスポークテンションの差も小さくなります。

 

 

さらに交差数の違いがテンションに与える影響はもうひとつあります。

上の図はラジアル組(0交差)とタンジェント組(1~4交差)の比較です。

ラジアル組(0交差)はスポークに角度がないため、スポークテンションがそのままリムを縦方向へ引っ張る力になります。

タンジェント組(1~4交差)はスポークに角度があるため、スポークテンションがリムを縦方向へ引っ張る力と横方向へ引っ張る力に分解され、リムを縦に引っ張る力が減ります。

ということで、ホイールの左右でラジアル組とタンジェント組を混ぜたとき、スポークテンションが同じならリムはラジアル組の方へずれます。

 

 

リムをセンターに収めるためには、左右で縦に引っ張る力を等しくしないといけないので

タンジェント組はラジアル組よりもスポークテンションを上げる必要があります。

タンジェント組のなかでもスポークの交差角度が大きくなるほど、その度合いは高まります。

先ほどの交差数を並べた図を見ても分かるように、交差数が多くなるほど交差角度も大きくなります。

 

ということで、これも先ほどのスポーク長と同じく

・高テンション側はスポーク交差数を減らしてスポークの交差角度を小さくする
・低テンション側はスポーク交差数を増やしてスポークの交差角度を大きくする

ことによって、左右のスポークテンションの差は小さくなります。

 

 

以上をまとめると

左右のスポークテンションの差をなるべく小さくしたいのであれば

・高テンション側はスポーク交差数をなるべく減らせばいい
・低テンション側はスポーク交差数をなるべく増やせばいい

わけです。

 

 

<補足>

左右のテンション差に与える影響は「スポーク長」と「交差角度」ではどちらが大きいでしょうか?

答えは断然「スポーク長」の方です。

特にタンジェント組同士であれば「交差角度」の違いによる影響はごくわずかなので「スポーク長」の違いの方が圧倒的に影響大となります。

 

 

 

これまでのことを踏まえると、ハブとリムとニップルの各部寸法を正確に計測して、組み方を決めることで、実際にホイールを組む前にスポーク長はもちろん、左右のテンション比率まで正確に計算することができます。

ホイールを組む前にテンション比率を計算するのは、単に便利なだけではなく、そうした方がいい理由が色々とあるからです。

たとえば事前にテンションの値を知っておかないと、どのスポークを使うのが最適か?という選択に困るのではないでしょうか。

 

次回に続く

 

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