こだわり(拘り)
「こだわる」という言葉自体は、本来はあまり良い意味を持っていないようです。「必要以上に細かいことを気にする」ことや「些細なことに気持ちがとらわれている」ことなどを指しているそうです。
そんなあまり良くない意味の「こだわる」は「物事に妥協せず、徹底的に追及する」といったような、良い意味でも使われるようになりました。
自転車の世界において、「こだわり」の極致と言えば「フルオーダー」となるでしょう。
先日納品させていただいた自転車は、そんなお客様の「こだわり」にお付き合いさせていただいて出来上がった逸品です。
フレームは、大阪・堺にてスチールのフルオーダーフレームを製作する「ソウカワガレージ」の「CORNER BIKES」(コーナー・バイクス)。
スタッフも以前に「CORNER」のフルオーダーフレームを作成したので、BLOG記事で紹介しました(⇒コチラ)
「CORNER」のフレームは、ジオメトリー(フレーム寸法)はもちろん、細部の仕様(ヘッドやBB、エンドの規格などなど)、ワイヤー受けなどフレーム小物の細かい位置などなど・・・ありとあらゆるコトが指定できます。
このフレームのお客様は、お気に入りのバイクのジオメトリーをベースに、使いたい部品から完成状態をイメージして細部の作りこみを考えて行きました。
オーダーしたフレームは、ディスクブレーキのシクロクロス/グラベルロード。シクロクロスとグラベルロードって何が違うの?ってところですが、短距離レース向けのシクロクロスよりも長距離が走りやすい設計にしてあるので「グラベルロード」と言って差し支えないかと。
カーボン製のフロントフォークに多いテーパードコラムに対応できる44mmヘッド、PF30規格のBBも指定です。
強力な制動力の油圧ディスクブレーキを使うので、スルーアクスル(142x12mm)仕様に。「CORNER」ではアメリカのフレームビルド用部材メーカー「Paragon Machine Works」(パラゴン・マシンワークス)の部材を多用しているということで、「Paragon POLY DROP」を採用。エンドパーツが交換式になっているので、クイック仕様やスルーアクスル仕様にコンバージョンできます。分割エンドなのでベルトドライブなんてマニアックなこともできてしまいます!
フロントフォークは、カーボン。「CORNER」でスチール製のフォークを作ってもらうことも可能ですが、軽さや剛性を重視するならカーボンフォークでしょう。選んだフォークは「一条サイクルセンター」が販売している「ENVE」(エンヴィ)の12mmスルーアクスルのCXフォーク。とんでもなく強いカーボンがウリの「ENVE」のこのフォークは、700cで45mm、650bで50mm幅のタイヤが使用できるかなり余裕のあるタイヤクリアランスがあります。タイヤの選択肢を豊富に持てることは、さまざまなライディングスタイルへの可能性に溢れているということになりますね。
ステムもフロントフォークに合わせて「ENVE」で。フレーム製造の「ソウカワガレージ」さんから、フレームと一緒にペイントに出していただきました。「CORNER」のフレームは「ソウカワガレージ」さんと付き合いの深い東京の「Cook Paint Works」さんでペイントされます。戦闘機「零戦」をイメージしたお客様のデザインを素晴らしいクオリティで仕上げてくださいました。
多くの大手メーカーがカーボンの最新モデルを次から次へと作り出す、このご時世。わざわざスチールなどの金属フレームでフルオーダーを作るということは、そのビルダーさんの、技術やセンス、こだわりに惚れ込んで・・・と言うことになるかと思います。
「CORNER」の「こだわり」が一番表れている部分が、この接合部でしょう。
(画像は、「CORNER ソウカワガレージ」のWEBサイトより)
ラグレスのフィレットブレイジングで接合されたスチールチューブ。ピッタリと噛み合わさるように加工したスチールチューブの間に熱した真鍮ロウを流し込み接合。さらに接合部に真鍮ロウを盛り強度を向上させる接合方法です。フィレットブレイジングは盛り上げたロウを丁寧に磨き美しい仕上がりになります。
「CORNER」を作る「ソウカワガレージ」の寒川さんのフィレットブレイジングは非常に美しい仕上がりです。加えて、チューブの端ギリギリにある接合部。いろんな金属フレームをスチールに限らず見てみれば、こんなギリギリで端でチューブを接合しているフレームはほとんど見ません。
こんな書き方をすれば寒川さんに怒られるかもしれませんが、執念と言うか、少しばかり狂気を秘めた「こだわり」を感じます。僕自身は、この執念や狂気を感じるほどの仕上がりに惹かれて「CORNER」を頼んだ次第です。
スタッフの私物「CORNER」です。
「CORNER」のこだわり具合をもう一つ。
他のお客様の「CORNER」フレームです。ラグ接合のフレームですが、1-1/8インチヘッド用のラグなんか出来合いのモノが無いそうです。無ければ作ってしまう!フィレットブレイズで繋げたチューブを切り抜いて作られたオリジナルのラグなんです。
性能とかに関係あるの?・・・と言われれば、関係ないでしょうね。効率とか合理的とかそう言うこととは無縁の無駄に感じられる部分かもしれません。でも、走らせてみると実に無駄がなく、スーっと走ってくれます。
最新カーボンと比べても、重量でこそカーボンに敵わなくとも、ペダリング時の心地よさはカーボンよりも良く、なめらかな走りが楽しめますよ。
・・・「CORNER」のフレームはとことんこだわって作られている・・・
店に届いたフレームを自転車に仕上げるのは僕らの仕事です。
フレーム以外も徹底的にこだわった今回のバイク。ビルダーさん、ペインターさんの驚異的な仕事を無駄にしないようにコチラも頑張らないといけません。
お客様がフレーム以外で非常にこだわった部分が、このホイールです。流行を見せる650bロードプラスのホイールです。幅45~50mm程度の太めのタイヤの装着を考えて提案させていただきました。「ENVE M50 27.5(650b)」のリムと「White Industories」(ホワイト・インダストリーズ)のハブの組み合わせ。目を引くマスタードイエローのスポークはフロントフォークのペイント(零戦の翼をイメージ)に合わせて「SAPIM」(サピム)のCX-RAYスポークをペイントしました。組み方なんかは任せて頂いたので、バルブを下に揃えて側面から見たときに飛行機のプロペラが広がっているイメージでカラースポークを入れてみました。
さらに、ステッカーを黒地にブラックのステルスにしたいとのご要望でしたが、せっかくならば、カラーのスポークにあわせてホワイトのステッカーを残した方が良いかな?と思ったので提案させていただきました。ブラックのステッカーで統一したければ後からでもできますしね!
メインの変速系/ブレーキはシマノの電動変速 Di-2 & 油圧ディスクブレーキで、ブレーキホースや電動変速用の配線は内蔵をご希望。
「できるだけスッキリと仕上げたい」とのご希望だったので、油圧ホースや配線の入り口の場所は、こちらで完成状態を考えて指定させていただきました。
日本人のほとんどは、ブレーキは右手で前ブレーキを操作します。ディスクブレーキは車体の左側なので、ブレーキホースは車体の前で右側から左側へと横切ります。ならば、左手で操作する後ブレーキは右側へ流して車体前方で交差させた方がスッキリすると考えて、ホースや配線の入り口を決めました。この配置ならホース類がフレームに擦れて塗装が痛むのも防げると思います。
完成状態がこちら!
写真を撮るときは、必ずバルブを下側で揃えてください!・・・と言う注意事項付き(笑)
本当に素晴らしい自転車が仕上がったと思います。
この自転車は、お客様の具体的なご希望や、イメージ、ビルダーさんやペインターさんの技術があってこその仕上がりでしょう。僕は、そこに少しだけ意見や私見をプラスさせていただきました。
もし、フルオーダーでとことんこだわったバイクを作ってみたい!と言う方は、「CORNER BIKES」を考えてみてください。
使ってみたいパーツや、完成時のイメージがあれば、どんどん言ってください。お客様の意見があればあるほど、ビルダーさんと僕たちが意見を交換しあって、本当に細かい部分まで考え抜いた自転車が出来上がると思います。
「こだわる」は本来良い意味じゃなかったかもしれませんが、「細かいことにこだわる」と「細部にまでこだわる」では、意味が違うと思いますよ。
★★★この自転車のその他の画像★★★
★★★その他の「CORNER BIKES」★★★
★お客様の「ラグ付き」ツーリングバイク ⇒⇒紹介BLOG記事 ⇒⇒詳しい画像
★スタッフのグラベルロード ⇒⇒紹介BLOG記事 ⇒⇒フレーム画像 ⇒⇒完成後の画像
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